東京医大前立腺センター


東京医科大学泌尿器科
前立腺センター

  • 増加の一途である前立腺疾患、特に前立腺がんに対応すべく前立腺センターを平成20年8月に立ち上げました。通常の外来でも前立腺疾患全てを扱っていますが、前立腺がんに関してお悩みの方は水曜日午後(1-5時)の前立腺センター外来もご利用下さい。

   住所:東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学3階泌尿器科外来 電話:03-3342-6111(代表)

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前立腺とは?

前立腺は男性のみ持つ器官で骨盤の最も深い場所に、前方は恥骨、後方は直腸、上は膀胱に囲まれています。主に精液の産生に関わっていますが、普段は前立腺の存在を感じることはなく、年齢がすすみ前立腺が大きくなり(肥大症)、夜の排尿の回数が増したり(夜間頻尿)、尿をした後も残っているような感じ(残尿感)がでて初めて意識しだします。また、年齢とともに前立腺がんも多く発見されるため、結果的に多くの男性が前立腺で苦しめられることになります。
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前立腺がん
立腺がんは欧米で多いがんでしたが、日本でも急激に増え15年後には肺がんと並び一番多いがんになってしまいそうです。 現在は、検診や人間ドックでPSAという血液の検査で異常と言われて外来にくる方がとても多く、その結果、前立腺がんと診断される方が増えています。PSAは前立腺特異抗原(prostate specific antigen)の略です。 前立腺肥大症、前立腺炎でも上昇しますが、3あるいは4を超えるとがんの可能性が高くなります。通常は、PSA4-10で約20%、10-20で30-40%、20以上で50%ががんと診断されます。また、PSAだけでなく泌尿器科の医師が指で触る直腸診、超音波やMRIで見られる異常があれば検査をし診断をつけます。
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前立腺生検
診断のためには生検を実施します。生検は施設により方法が若干違います。当院では1泊2日で実施しています。横向きに寝て、図に示すように超音波を肛門から入れ、超音波で前立腺を直接、観察しながら針を刺します。通常、12本ほど刺します。検査は始まれば5分ほどで終了します。基本的にはとても安全な検査ですが、血尿、血便、発熱などの副作用がまれにあるので一泊していただいています。
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診断後にすべきこと
生検の結果、前立腺がんと診断がつくと次にがんの転移がないかどうか調べます。
①骨シンチグラフィーという核医学検査で全身の骨を調べる。
②CTでリンパ節への転移の有無を調べる。
③場合によりMRIで前立腺や骨を調べる。 
④また、PSAの値、直腸診の結果、生検の結果(グリソンスコアという病理学的な悪性度)の3つを使い、低・中・高のリスク群分けをし、早期がんであっても治療後の再発率などを予測し、治療指針に役立てます。

まず、敵の正体を十分見極めた上で治療方針を立てます。治療は個々のがんの状態、その他の抱えている病気(心臓病、糖尿病など)と好みなどにより決定します。一般的には診断がはっきりしてから3カ月以内には治療に取り掛かった方が良いとされます。十分な理解を得るためにセカンドオピニオン、サードオピニオンを求め他の病院の意見を聞くことは大切ですが、必要以上の時間をかけない様にしましょう。セカンドオピニオンには担当医の手紙、生検の病理スライド、実施した画像診断(CT,骨シンチなど)が必要となりますので注意してください。

現在、東京医科大学では早期前立腺がんに対して①手術(開腹、ロボット)、②外放射線治療(IMRT、強度変調外放射線治療)、③密封小線源療法、④ホルモン治療、⑤PSAによる経過観察(すぐに積極的な治療をしない)が利用可能です。特に、ロボット支援前立腺全摘除術に力を入れており日本で最も多く実施しています。

手術:
開腹手術もロボット手術も入院期間は約2週間です。開腹手術の麻酔方法は通常、全身麻酔+硬膜外麻酔(背中からする部分麻酔)です。ロボット手術は全身麻酔のみです。開腹手術はおヘソから下に向かい10cm位の切開を入れ前立腺を摘出します。古くからやられている標準的な手術ですがいくつか問題もあります。ある程度の出血を覚悟しなければならず手術前に自分の血を800-1200ccほど貯めておき手術の際に使います(自己血)、また手術後4-5日は傷の痛みが強い場合があります。それと比較するとロボット手術は出血が少なく、大きな切開をしないために術後の痛みも少ないので多くの方に喜ばれております。 また、開腹であれロボットであれ起きうる副作用として尿失禁と勃起障害があります。最近では尿失禁は少なくなりつつあり、ほとんどの方が手術後数カ月以内に生活上問題はなくなりますが、一部の方に長期の尿失禁を認める場合があります。その際には骨盤底筋運動、薬物治療、コラーゲン注入治療、その他の手術をすることがあります。ロボットの手術は13倍にも拡大した中で手術をするので、さらに尿失禁や勃起障害の成績が良くなると期待されています。 ロボットの唯一の問題は費用です。一昨年より先進医療として認められ現在ではロボットの費用として72万円プラスその他の必要経費(これは保険でカバーされます)で計100万円前後の自己負担が必要となります。 写真はロボットの様子です。お腹の中に4-5本のカンシを入れて手術をします
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IMRT
強度変調外放射線治療。 日本でも最近、注目されている放射線治療の方法の一つです。従来の方法では前立腺だけでなく周囲の直腸や膀胱にも放射線が当たるため副作用(腸炎・膀胱炎・血尿など)があり、従って前立腺にも十分な放射線量を当てることができませんでした。 IMRTは複雑な前立腺の形に沿って放射線を当てることができる画期的な方法です。当院でも放射線治療部で昨年1月より開始しています。 基本的に入院の必要はなく外来に月曜日から金曜日まで約8週間通院して頂きます。 初日・二日目は体の位置合わせなどしますので時間がかかりますが、その次からは短時間ですみます。
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図1.jpgIMRT計画.png詳しくはこちら

密封小線源療: 現在、日本でも増加している治療の一つです。5年前に日本で認可されましたが米国ではすでに15年前から使用されその安全性・効果とも明確になっています。主に低リスクのがんのかた(PSAが10以下と低く、針の検査の悪性度が低く、泌尿器科の医師が指で前立腺を触ってガンが触れない或いは大きくない)に適した治療です。当院では月曜に入院、火曜日に手術(腰椎麻酔という部分麻酔)し木曜に退院、という3泊4日のコースとなっています。
シード.jpg詳しくはこちら

経過観察:
前立腺がんは他のがんとやや異なり、通常は成長がゆっくりなことが多いとされます。しかも、比較的高齢者で発見されるために、手術や放射線などの積極的な治療をせず、経過をみる方法があります。何もしないと言っても定期的に血液のPSAを検査したり、場合によっては数年ごとに生検をしたりします。要はがんが進行しないかどうかを見守るということです。現実的には、がんを放置しておくことの不安であったり、PSAが上昇したりして他の治療にうつる方もいます。しかし、年齢が高く(75歳以上、あるいは75歳以下でも他の疾患を抱える)、PSAも低く、生検の悪性度も悪くない、生検の中のがんの大きさも小さいなどの条件に合う方は、経過観察も大切な選択肢です。主治医の先生と十分に話し合い決めるべきです。治療をしないことで治すタイミングを失う可能性はあり得ますが、上記条件に当てはまる方で高齢者であれば前立腺がんが残る寿命の中で悪影響を出すことは少ないと言えます。

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堀 理(おおほりまこと)のプロフィール
昭和31年生まれ、53歳
早稲田大学社会科学中途退学
岩手医科大学医学部卒業
北里大学泌尿器科研修医
米国ベイラー医科大学留学(1990-1994)
米国メモリアルスロンケタリング癌センター
前立腺センター副所長(1999-2003)
東京医科大学教授(2006-)
東京医科大学前立腺センター長(2008-)

日本泌尿器科学会専門医・指導医
所属学会:日本泌尿器科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、化学療法学会、米国泌尿器科学会など

一般向け著書
スカルディーノの前立腺全書
 大堀理訳、ベクトルコア社

LinkIcon本について

セカンドオピニオンの注意

セカンドオピニオンの際には現在の主治医の先生から
① 簡単な手紙(診断までの経緯、直腸診の結果、PSAの値)
② 生検の病理(報告書だけでなく実際の病理スライド)
③ 実施された画像(CT,MRI,骨シンチクラフィーなど)
を必ず頂いて下さい。資料を揃えるのに時間がかかることがありますが今では誰でも問題なく準備してくれます。 

転移がんの治療
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前立腺がんの特徴の一つに骨への転移があります。骨シンチグラフィーという核医学検査でわかります。骨転移やCTでリンパ節転移が発見されると治療方法は内分泌(ホルモン)治療に限定されます。内分泌治療は内服のくすりと月一回(あるいは3カ月に1回)の注射の治療により、男性ホルモンを低下させます。前立腺がん細胞や前立腺細胞は男性ホルモンが低下すると死んだり休んだりして、PSAは劇的に低下します。副作用には、ほてり、乳房痛、心筋梗塞・脳梗塞のリスクの上昇、筋力低下、骨そしょう症、肝機能障害などがあります。内分泌治療は劇的な効果がありますが数年後に効果が弱くなってしまうことがあります。以前は、その後の良い治療方法はありませんでしたが、現在は種々の内服治療の交替をした後に、タキソテールという抗がん剤の注射をする方法があります。効果のある治療ですが全身倦怠、血液の白血球低下などの副作用もあります。